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古銭で頻繁に使用される『母銭』とは?子銭との違い&3つの見分け方!

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古銭の種類を見ていると、母銭や子銭といった言葉が出てきます。コレクターにとっては知っていて当然のものなのですが、この母銭と子銭にはどういった違いがあるのでしょうか。

実は古銭の価値を良く見てみると、母銭の方が高くなっているのが分かります。同じ古銭でも母銭と子銭では、かなりの違いが出るのです。どうしてこのような価値の違いが出るのかについても調べてみました。

実は意外とシンプルなことなので、これから古銭のコレクションをする人も覚えておいて損はありません。

目次

母銭とは~流通銭・子銭の原型~

銀貨・銅貨

ではそもそも母銭とはどういうものなのでしょうか。古銭の製造方法は鋳造を使っています。鋳造とは原型になる貨幣の型を砂などでとって、そこに溶かした金属を流し込む方法のことです。

一度に沢山製造できることから、この鋳造が使われていました。そこで母銭なのですが、この貨幣の原型のことを指します。そして子銭というのは鋳造された貨幣のことです。主に流通するものなので、流通銭という呼び方もします。

同じ古銭でも流通していたものよりも、原型となる母銭の方が数が圧倒的に少ないのも当然です。結果として希少価値が高くなるので、流通銭よりも買取価格の相場も比例しています。

母銭の見分け方は”3つ”

では次に母銭の特徴について見ていきましょう。

母銭の見分け方は”3つ”

この3つが代表的でしょう。ではそれぞれのポイントを確認してみます。

【見分け方①】素材が違う

いろいろな古銭

母銭の特徴の1つとなるのが素材です。先程お伝えしたように母銭は、鋳造の原型となります。簡単に方法を確認しましょう。

  1. 手彫りで彫母銭を作る
  2. 彫母銭から鋳造した錫母銭を作る
  3. 錫母銭から鋳造した銅母銭を作る
  4. 銅母銭を原型として子銭を作る

といった手順が取られます。一般的に母銭と言えば銅母銭のことで、これは何度も溶けた金属を流しこんで冷やすといった作業を行うのです。そのため子銭と同じ金属ではすぐに劣化してしまいます。

だからこそ子銭よりも劣化がしにくい質の良い金属を使って作るのです。結果として同じ銅銭であっても、母銭の方が質が良くなります。これが代表的な子銭との違いでしょう。

【見分け方②】大きさが違う

PCとメモ

次に母銭と子銭では大きさが違うという点も注目しておきましょう。鋳造という製造法では、溶けた金属を型枠に流し込んでから冷やします。多くの人がご存知でしょうが、金属は冷えて固まる時に収縮するのです。

そのため鋳造によって作られる子銭は、原型となる母銭よりも全体的なサイズがやや小さくなってしまいます。このサイズの違いで、母銭か子銭かを見分けることが可能です。

ただし素人が一見しただけでは、分からないような違いでしょう。

ここがポイント例えば大量に流通銭があり、その中に1枚だけ母銭が混ざっているというのは珍しくありません。こうした時に見分けるのは難しいので、もし大量に古銭が手元にあるのなら、専門家に鑑定してもらった方がいいでしょう。

【見分け方③】模様や文字がハッキリしている

メモを取る作業員

母銭と子銭の違い3つ目としては、模様や文字がはっきりしている点です。原型となる母銭は、彫られている模様や文字、縁取りなどがシャープでくっきりと作られています。

比較すると分かりやすいのですが、立体的な作りなのです。鋳造をすることで大量生産ができますが、昔はすべてが手作業であったため、現在の硬貨のように均一な仕上がりではありません。

コピーと同じで何度も行っていると、元の文書よりもだんだんと不明瞭になっていきます。母銭と子銭でもこれと同じことが起こっているのだと考えてください。

ただし素人では見分けがつきにくいです。何枚も同じものを見ていると分かるようになるので、分からない場合はプロに査定をお願いしましょう。

《補足》寛永通宝の母銭の見分け方

ポイントと書かれた紙を指差す

では最後に穴銭で有名な寛永通宝の、母銭と子銭の見分け方についても確認しておきましょう。そのために先ず前提となる知識を紹介します。

  • 穴線の表面は面、裏面のことを背と呼ぶ
  • 外周部分の縁取りを輪、穴周辺の縁取りを郭と呼ぶ
  • 輪の内径のことを至輪径と呼ぶ
  • 背の郭の背郭と呼ぶ
  • 穴のことを穿と呼ぶ

では寛永通宝の母銭と子銭の違いを見ていきます。

  • 母銭よりも至輪径が小さいのが子銭
  • 郭の縁取りが一定ではない
  • 文字や郭が斜めになっていないのが母銭

などのような違いがあります。基本的には母銭の彫りはシャープで繊細な作りをしていますが、子銭は鋳型から抜くことを考えて斜めになっていたりするので、比較して見るとわかりやすいでしょう。

まとめ

古銭で頻繁に使用されるのが母銭と子銭という言葉です。現代では硬貨はプレス製造されていますが、昔はそのような技術がありませんでした。そのため溶けた金属を型枠に流し込んでから冷やして固める鋳造が使われていたのです。

この鋳造の時の原型となるのが母銭で、流通用に使われるのが子銭になります。当然ですが子銭よりも母銭の方が数が少ないため、希少価値が加わって市場価値も高くなるのです。

ただ素人では見分けるのもコツがいるため、できれば自分で判断せずにプロに任せるようにしましょう。

この記事の監修者

堀内 秀磨のアバター 堀内 秀磨 監修者

「もっと価値を見つける」をテーマに古銭の買取現場に立ち会い価格交渉を経験。現在は古銭買取メディアの立ち上げから運営、さらに自ら古銭を売買を行うため古物商を取得(奈良県公安委員会 第641180000388号)。WEBメディアを通じて分かりにくいことを分かりやすく解説し、リユースに関する正しい知識を提供し、適切な判断ができるように情報を発信中。

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